銀座にあるお店さんのグリストラップつまりが流れないと、夜間お電話をいただいたのでした。お話をお伺いすると、B1店舗とのことです。電話の段階でヒアリングさせていただいたところトイレも流れないとのことでした。
地下店舗の排水トラブルはポンプ絡みが多い
真夜中にどうしても行きたくない現場というのはあります。それはB1店舗で排水の流れが全滅している場合で、なおかつ弊社が一時的に仮設できるポンプがない状態のときです。(何件か仮説をしている現場が重なるとこういう一時的に仮設用のポンプがない時はあります)というも、地下の排水というのは自然に地上排水することはなくて、一度、更に下の層に排水をためこみ、その層が一定数の水位になるとスイッチが入り、ポンプでくみ上げる仕組みなのです。グリストラップもつまり、トイレもつまっている、いわゆる排水管が全滅している場合、このくみ上げるポンプの故障の可能性が高いからです。この場合は、お店さん1店舗の問題ではないケースが多く、ビルの設備の問題になることなど、利害関係の調整が難しいのです。過去に一度、もう溢れていたので応急で仮設したらば、「勝手な事をしたな」と言いがかりをつけられたことがあります。そこまで悪質なビル管理会社さんは今時はもういないでしょうけどね。何より仮設用のポンプが今ない。
それでも、少し水位が引いたなどのお話しと、どこかでブーという。層が満水の時になる満水ブザー放っていないか尋ねたところ、そういう音は微塵もしないとのことでしたので、お伺いさせていただきました。
グリストラップつまりは直ぐ解消
だけど、違和感を覚えたのですよ。水位の引きも遅いし、トイレを流すと、流れるのだけど排水管内で何かがぶつかる、ごぼごぼぼぼという嫌な鈍い音というのでしょうか。ずっと水位を流し続けても水位上昇はしてこないのですが、トイレでペーパーを何度か流すと詰まりが再発しました。上記のようにワイヤーを入れる作業をして再度詰まりは抜けましたが、いよいよ違和感があることは確信したので、カメラを入れさせていただくことにしました。
カメラは自体を明確にする
これ、私は正直何かわからなかったのですが、もう一人の作業仲間が言うには扇子だ。しかも2本あるということをいいだしました。映像は常に揺れ動くのでその瞬間に確信したのだと思います。こういう場合って料金体系は変わり、成果報酬でするかしないかを提案することがあります。調べている時カメラの電源が一度切れてしまったので、そこからのメートル数になっていますが、グリストラップから8-10m程度先です。しかも曲がって落ちたあたりにひっかかっている扇子。
絶対出来るとは言えない現場
成果報酬にしては破格に安い金額を思わず提示してしまいました(笑)1時間で取れるかもしれないし、12時間かけても取れないかもしれない。取れなければ層側からの工事になります。少なく見積もっても3桁は超える工事になるかと思います。妥当な相場って難しいなと思いますが、仲間も気が良いので結構格安でした(笑)それでも、正直自分たちはそれを取ってきて結果として取れなかった事はないのですが、絶対は言い切れるものではないので、こういう場合は取れてナンボという考えなのです。取れてないのに頑張ったからお代をくださいとは消して言いたくないプライドはもちろんあります。
排水管の中に異物がある
入っているものが扇子だとわかれば、先端を改造していきます。この時点で買い替えるワイヤーを想えば俺たちは赤字じゃないか?くらいの気持ちは正直ありましたけどね(笑)あぶることで先端金具やわいぞーを改造していき、引っ掛かりやすいようにします。
何よりうちらは信じられない頭の悪さなのですが、管内カメラのケーブルが入っている状態で、ひっかけるためにワイヤーを回します。極力手で少しずつまわしますが、絡めるときは電気で回転させることもあります。実際カメラが断線してしまうケースもあります。そうすると修理費だけで天文学的な金額になることは正直ありました(笑)ですが、やらないとお店さんは相当な賠償をすることになりますからね。
まずひとつがひっかかり取れました。そうしたら今度はそれをワイヤーの先端にからめてワイヤーの先端を扇子の芯にあわせてすぼめていきます。そうすることで2個目がとりやすくなるのです。もうこういうのは場当たり的な工夫でしかありませんし、集中力と、絶対取ってやるっていう精神力がものをいうような気がします。
排水の違和感が消える
作業開始から2時間くらいです。なんとか無事2つ取れました。もう手袋も何度もやぶけて手触りでワイヤーをまわしていました。できるだけ機械の力を使わずにまわさないと、本当にあっという間にカメラのケーブルなど断線しますからね。
成果報酬での対応にさせていただくことはある
トイレも勢いよく流れるようになり、ごぼぼぼぼーといった変な異物音は当然なくなりました。排水管奥に異物が入ってもう取れないといった状態で依頼をいただくことは結構ありますが、結果としては今まで頂いた依頼のものは1つの例外もなく取ってまいりました。しかし、いつもこういうケースにぶつかったとき、言えないことはあります。それは「絶対取れる」とお客さんに伝える事です。
それを言えるのは工事をするときだけです。ですが、工事は安くても数十万円、下水のメイン管などをいじる場合は簡単に3桁の数字を超えます。なのでこういうのをきちんと取り切った時は凄い仕事を俺たちはしたなっていう充足感は確かにあります。