市川市排水つまり解消事例

事例を読む際にYouTubeを流しながらお読み頂くことで、雰囲気を演出した事例を作成しました。

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千葉の市川氏の排水つまりの現場です

時刻は21時を少し回った頃、管理会社から突然電話をいただいた。「高圧洗浄ってできますか?」との問いに、どれほど依頼をくれていても、下請けの所有する機材なんてあまり把握していないのだな、と少しがっかりしながらも「高圧洗浄はありますよ」と案内する。「最終マスから高圧洗浄をして欲しいのですが。」とのこと。

ただの指定通りの高圧洗浄ならばたいした作業ではない。ただの排水管清掃だ。その程度の軽い気持ちで現場に向かった。だけど何故緊急なのだろう?という想いはどこかにあった。

漏水
水漏れ

現場につくと、結構大事になっていた。建物の3Fから水が漏れていて、2Fの天井からしずくがしたたり落ちている。それも結構な量だ。そのうち、天井は崩れ落ちるだろうが、現場にいたビル管理のスタッフの長が、ここから高圧洗浄をしてほしいと、まったく見当はずれな場所を指摘する。

最終マスから高圧洗浄


こんなところから地中を這う下水管にアプローチしても何も意味はない。「事態は深刻ではないのですか?」軽くそれは意味が無いよと言った感じでジャブをふるのだが、ここが怪しいの一点張りだった。仲間も駆けつけて自分と同じ感想を抱くのだが、ビル管の方は藁にもすがる想いだったのだろうな。言い争っていても仕方ない。

排水マンガ

うちのスタッフは皆、意味のない作業を嫌い、ましてやそれで料金が上がることを嫌うが、ここで私は決断を下した。「やってくれと言われた分は料金をもらえるだろう。取り敢えず言われたことをやろう。」一瞬、仲間が「こいつマジか」という顔をした。今この時、信頼関係にある仲間に自分がどう思われても構わない。

管内カメラ

高圧洗浄をしても意味がないし、カメラも入れた。「詰まっていないですよ?」と告げたが、切羽詰まっている現場では説得力が必要だ。これは現場作業の例だが、書類を必要とするビジネスでは稟議書があり、いくつもの上役のハンコが必要な煩雑な仕事もある。だが、その体制を末端がリアルタイムに批判しても、その声は上役に届かず、煙たがられて終わりだろう。

私の目的は、被害を最低限にとどめて解決すること。

天井から水漏れ

その無駄な作業を最短の時間で済ませ、ビル管理の長もどこかに電話している。ダメだったことを伝えたのだろう。次の手があればこそ、あえて無駄な高圧洗浄に踏み切った。「天井をぶっ壊そう」そんな主張に皆驚くことはある。なんとか最低限に事を収めたい。どうやらここの漏水している部屋は大きな会社のプログラム処理をする部署で、パソコンデータが飛んでしまったら復旧させるのに数百万では済まないらしい。

そんなことをさらに警告されても、

「天井をぶっ壊そう」

その想いは変わることはない。既に意味がない作業を意味がないと判断し、実際に意味がなかったことがわかっているから、こんな提案にも説得力を持てる。そもそもこれだけ漏れてしまっている以上、どの道汚水のトラブルだから天板は張り替えないといけない。同じことだ。今壊すか、あとで壊すか。

そりゃ、今でしょう。

原因は鉄管の腐食

思った通りだ。鉄管の排水管が腐食しており、その錆で汚物は詰まりやすくなっている。さらに腐食によって空いたわずかな隙間が、その先で詰まって排水管がパンパンに水を溜め、あふれ出してしまっているのだ。4Fからは居住用住宅だから、誰かがトイレを流せばまた溢れてくる。事態は一刻の猶予も許されない。

重たい機材を手作業で

天板を取り外して、今度は穴の開いている鉄管にワイヤーを入れるためさらに穴を大きくする。その際、余計に水が漏れることは避けられない。痛みを伴う作業になるかもしれないし、錆の腐食が酷い場合、解決しない可能性もある。だが、勝負は一瞬で決めたいから、積載していた一番大きなワイヤーを使うことにした。機械で回すのではなく、鉄管の腐食具合が気になるから、2人で持ち上げて強く押しながらゆっくり回す。勝負は一瞬だ。「えいっ」と、ここだと思ったときに二人で力を入れる。するとみるみるうちに水が引いていった。

鉄管補修

やる前に、絶対解決しますか?大丈夫ですか?と何度も聞かれたが、絶対大丈夫ですとは言えない。解決しない可能性だってある。保険に入っているとはいえ、鉄管の腐食のトラブルは賠償責任の保険は適応されない。あえての決断に、詰め腹を切らされることはあるかもしれない。けどやらなければ、あなたの首も飛ぶと思いますよ。何故そのまま何もしなかった?と。

覚悟を決めたビル管の長の勇気は称えたい。それであなたが1人責めを負うならば一緒に腹を切ってやる。だが、作業を開始する直前にビルオーナーと連絡がつきOKが出たんだ。許可がでなくても、もうコンピューターに水滴がかかりはじめていたから、やったし、結果解決した。

引いてはいけない現場というのはある。
できれば指示を待つ人間でいたいし、勝手な事はしたくない。それは情けないといわれればそうだけども、責任は取りたくない。それに勝手な事をしてチームワークを乱す人になるのは嫌だ。和気藹々と暮らしていたい。だけども緊急な現場というのはそんな想いとは裏腹にやらなければならない瞬間はある。これは経験則なのだが、こういう時は進まずに引くと、後退したにもかかわらず矢が飛んできて突き刺さる。だが、こういう現場で命を捨て覚悟をもって前進すると、活路は必ず開ける。どんなに前線に飛び出しても、矢が自分に当たることはない。

ただの排水詰まりの現場、ただの排水トラブルの仕事、水道屋でもレベルの低いと思われる仕事。それでも感動され感謝される現場というものはある。職業に貴賤はない。どんな仕事も尊いものになりえるたった1つのキーワードがある。

それは「本気」であることだ。

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