難航している現場は怖い
行きたくない現場というものはあります。それは夜中に近い時間で、もうトイレが溢れて公道に流れてしまっていて、しかも先行する業者さんが解決したと引き上げた矢先の出来事で後処理のようなお仕事です。管理会社さんのメンツもあるから誰かがいかないといけない。普段お世話になっていることもあるから覚悟を決めていきました。場所は港区新橋の大きなビルに入る1Fのお店さん。
溢れだす排水
夜中0時頃、現場につくと以外にもあふれは収まっていました。祈るように掃除口を開けると甘い話は無くて水位が確認できました。それは詰まりが抜けてないことを意味します。出張費しか頂けなくてもこういう現場は解決してくれていた方がありがたいです。ただ溢れるという症状がでていないからまだ何とも言えない状態です。というのも排水管の勾配が悪いだけかもしれない。そういう場合は掃除口に水がたまっていることは多いです。
自分を過信しない
だけどそんな甘い話はなくて、あふれ出してきたので慌ててワイヤーを入れることで溢れが収まったのですが、違和感が凄くて。なんだか自分の力で溢れが収まった気がどうしてもしないのです。一度引いたタイミングですかさずカメラを入れました。
カメラをいれたら10m先でつまっている。排水管が縦に落ちた先で水位がありました。これで、先の会社さんは帰ったのだと思います。それでも水位が引いたことは間違いないから仕方ないのだけど、自分はカメラを見ている。解決したなんてどの角度からも言えない。どうするか悩みました。というのもワイヤーは10m、ちょうどここで曲がってくれず、これ以上は入らないのです。それはつまり、この掃除口からのアプローチができないことを意味します。
覚悟を決め建物の周りを只管見て回る
どうするか悩んでいたら再びカメラの向こう側で先端が水没してしまいました。依頼主のお店さんはトイレも厨房も排水をしていない。だけど水位上昇が起こっている現実。港区の大きなビル。戸惑うばかりです。現状は打つ手がないので途方に暮れる感覚で1つ1つビルの周りの重たいマスを開けていきます。固着していて開けるのも一苦労です。
人の感覚地を鵜呑みにしない
ビルの周りの排水マスを全部あけて、1つ1つしらみつぶしにさがしていきます。最初はお店側の入り口にわかりやすい公共マスがあり、そこに流れていると思っていたのですが、流れてはきていませんでした。。最初に言われたのはこのビルの裏には排水は流れていないとのことです。それは先行した業者さんがおしゃってたそうで、スタッフの方もそうだと信じてしまっていたので、自分も信じてしまいましたが。1つ1つ可能性を調べる事で、そこしかないという風に思うようになり、流れてきていないといわれた箇所のマスを開けてワイヤーを入れてみると
明らかにこれは関係あるんではないか?という感じがしました。業者さんの中には不確定というか、きちんと調べていないのに感覚値で伝える人がいます。詰まっている現場に行くと、店主さんがうちの排水管は勾配がわるいからね・・・と言われて、詰まりを抜いた後カメラをいれると、全然勾配はよく、油が取り切れてなかったなんてことは本当に多いです。機材不適合でも詰まりを抜いただけでも立派な仕事です。ただ解らないことに保険をかける業者さんは多いように思います。それはそれで気持ちはわからなくないのですが、今回みたいなケースだと解決は2時間近く遅れた印象はあります。解らないことは解らないでいいと思うのですよ。
1つ1つマスをしらみつぶしに調査すると、とっくに明け方にはなっていましたが、漸くたどり着きました。カメラで確認すると思わず「ビンゴ」その言葉が適切な言葉なのかわからないですけど、心の声ではなくて、本当に言葉として店長さんの前で出てしまいました。1人での作業だったのですが、店長さんが一緒にいてくれたのは心強かったです。そもそもお店単体のつまりではない、自分が抜いた感じがしないのに水位が引いたのは、他の上階のお店が排水を使うのをやめ始めたからだと、この時合点がいきました。夜中だったことが幸いしました。夕方とかだとあふれてテンパる中の作業になっていたと思うとゾっとします。
そして、解決の時は訪れました。5時間くらいかかった現場です。難航する現場というものはあり、そして強力な詰まりには強力な粉砕ができる機材もあれば、物理的に解るようにカメラも積載してもいます。科学的に解決することが好きなんです。詰まり易いと適当にいうのではなくて、詰まり易い排水管ならばその理由をきちんと論理的に証拠の写真とともに説明したい。だから、他社さんより、圧倒的に解決率が高いという自負があると思っていますし、ホームページでも結構それを誇りに語ってもいます。反面、精神論は好きではないです。それでも今回は気力が解決に導いてくれたと思います。
満たされる仕事なんです。
家路についたときにはすっかり朝でしたけど、そしてこういう現場ではなくて単純なグリストラップ詰まりの解消を専らとしたいですけども・・・それでも頑張った時に笑顔を向けてくださるとき、凄く満たされる心があるんですよ。本当に解決してよかった。大きいビルのマスを1つ1つ開ける作業をしたとき、本当に逃げたい気持でいっぱいでした(笑)解決できるぞ!と終わりが見えてない作業はメンタルがぐいぐいやられまからね